特徴・機能紹介

いい絵を撮るために
〜フォビオンセンサーの特徴〜

はじめに

フォビオンダイレクトイメージセンサー(FOVEON X3® ダイレクトイメージセンサー、以下フォビオンセンサーと略す)は、他のイメージセンサーと異なる特徴を持っています。
最大の特徴は、1箇所で3つの色を同時に捕らえることができる点ですが、反面、不利な特徴をも持っています。
このサイトは、フォビオンセンサーの長所と短所を理解し、フォビオンセンサーを最大限に生かした撮影を行うためのガイドとなることを目指しています。

最大の特徴

センサーそのものがカラーを捕らえることができる

フォビオンセンサー以外のカラーイメージセンサーは、センサーの表面にカラーフィルタをつけることでカラーを捕らえています。

ほとんどのデジタルカメラに使われているベイヤー(Bayer)配列のカラーフィルタをもつイメージセンサーの構造を示しました。

イメージセンサーの構造

ごらんのとおり、1つのセンサーは赤、青、緑のどれか1色しか捕らえることができません。
カラーフィルタは、赤、青、緑のほかに、シアン、マゼンタ、イエロー、グリーンを使ったものや、エメラルドグリーンを加えて、赤、青、緑、エメラルドグリーンを配置しているタイプもありますが、フォビオンイメージセンサー以外のカラーセンサーは、必ずカラーフィルタを備えています。
このセンサーが捕らえた信号を映像化するためには、足りない色成分を周囲から補ってくる必要があります。
たとえば、赤を捕らえたピクセルでは、青と緑を周囲の画素から補って、R,G,B を揃えカラー画像に変換します。
これをデモザイクまたは Interpolation と呼びます。
しかし、それは位置が異なる部分の色情報であるため、あくまでも予測値に過ぎません。
このため、構造の細かい部分で、高周波偽色という問題が発生します。

高周波偽色の例
高周波偽色の例

この高周波偽色は、画像処理だけでは避けることができないため、カラーフィルタの前にさらにローパスフィルタという水晶でできたフィルタを挿入して、偽色を防いでいます。
しかし、このローパスフィルタは、単純にいえば「ぼかし」フィルタです。
高周波が入力されるのを防ぐために映像をぼかしてしまうのです。

現在市販されているデジタルカメラは、ほぼ100%(*1)このローパスフィルタを搭載しています。(フォビオンセンサーを除く)
*1 ... 一部のデジタルカメラでは、搭載していないものもありますが、細かい構造を持つ被写体を撮影すると高周波偽色が発生してしまいます。

では、フォビオンセンサーの構造です。

フォビオンセンサーの構造

縦に、B, G, R の順でセンサーが配置されています。
つまり、映像のまったく同じ位置をカラーで捕らえることができるのです。
このため、原理的に高周波偽色が発生せず、映像をぼかしてしまうローパスフィルタも必要ありません。
この点がフォビオンセンサーの最大の特徴です。

なぜ縦にセンサーを並べるだけで
カラーを捕らえることができるのか

フォビオンセンサーは、単純に表面近くから B,G,R とセンサーが縦に並んでいるだけにすぎません。
これでなぜ、カラーを捕らえることができるのでしょうか?
それは、色(光の波長)によって透過力が異なるからです。
青い光は、波長が短いため透過力が低く、散乱されやすい特徴を持ちます。空が青いのも青い光が散乱されるからです。
逆に赤い光は、波長が長いため透過力が高いのです。夕焼けが赤いのは赤い光が散乱されにくく遠くまで透過しやすいからです。
この性質は、イメージセンサーを作っているシリコンの内部でも同じです。
青い光は、シリコンの中を透過しにくい。つまり、センサーの表面付近で電荷に変換されやすい。
そして、赤い光は、シリコンの中を透過しやすい。つまり、センサーの表面ではなく深層部で電荷に変換されやすいのです。
このため、表面近くから縦にセンサーを並べることで、B,G,R の順で色を捕らえることができます。