よりダイナミクスの大きな情報が隠れている
RAWデータ上で飛んでしまっている部分は、現像時に減感現像を行ってもディテールは出てきません。
しかし、カメラによっては、露出補正量0で真っ白に再現される領域よりもさらに大きな明るい領域までRAWデータに記録している物があります。
お使いになっているカメラがそうなっているかどうかを調べるのは、本ソフトを使って以下のような実験をしてみると分かります。
連続的に明るくなっているディテールのあるものを明るい部分が飛ぶように撮影する。
本ソフトを使用して、露出補正をマイナス側に移動していく、ここで露出補正0で飛んでいた部分にディテールが見えてくれば、あなたのカメラは真っ白よりも明るい部分を記録しています。
この実験を注意深く行うと、ある一定以上の露出補正値では、ハイライトのディテールが出てこない限界点を見つけることができます。
例えば、-1/2EVまでは、ディテールが出てくるのに、それ以上では出てこない。といった現象です。
そのとき、あなたのカメラは1/2EV分だけの余裕をもってRAWを記録していることになります。
逆に言うと、センサーのダイナミックレンジの上側1/2EVは使われていないことになります。
カメラによっては、ISO感度を高めたときだけ、このような機能が働くものもあります。
しかし、1/2EV明るいところまで飛ばないとしても、その領域を目一杯使って撮影して良いかというと、そうではありません。
その領域は、もうリニアリティ(直線性)が失われているかも知れないからです。
その領域までを積極的に使うには、テスト撮影をして、あなたが納得できる色再現が行われるかどうかを調べるしかありません。
ここまで知り抜いていれば、被写体によっては(例えば)1/2EV程度オーバーに撮影して、ノイズの少ない清潔な絵を作れるかもしれません。
イメージセンサーの特性を知る
イメージセンサーは、CCDあるいはCMOSによって作られており、与えた光量に応じた信号を出力します。
しかし、あるところで光量を上げても信号は上がらずにストップしてしまいます。これがサチュレートです。
これは、RAWデータ上でも白とびを起こします。
では、センサーはサチュレートする直前まで使い切れるかというと、そうではありません。
与えた光量に対して、出力信号が比例する領域、この領域を外れると、色再現が低下します。
通常は、この比例領域だけを使ってJPEG映像を生成するようにカメラは設計されています。
しかし、完全な比例ではなく、どこまで許容できるかという許容範囲を含んでいます。
もし、カメラメーカーは許容できてもあなたが許容できる範囲を超えていたら…
そのカメラはもう駄目?ではなくて、あなたが許容できる範囲を使って露出すればいいのです。
許容できる範囲に入るまでアンダーに露出すればいいのです。
それでも駄目なら、もうそのカメラは駄目?そのとおりです。その場合、カメラを買い換えるしかありません。
アンダーに撮影することで、色再現性の低下を回避できたとしても、ノイズが増加するかもしれません。
でも、それがそのカメラのセンサーの能力なのですから、色再現と、ノイズの妥協点を見つけなければならないでしょう。
逆に、被写体によってはメーカーの許容範囲を超えられるかもしれません。
その場合には「減感現像の可能性」で説明した範囲内でオーバーな露出をすることで、ノイズの少ない清潔な映像を手に入れることができます。