認識・検出技術

特徴点検出技術

画像から特徴を高速に見つけ出す技術 (特許第4689758)

本技術は、画像から特徴的な部分を特定し、その特徴を数値化するものです。この数値と、検出された座標をセットにして保持することで、例えば、画像比較を伴うことなく高速に画像の一致を検出したり、特定の物体を高速に検索したりすることができます。本技術では、ユニークでシンプルな概念を導入することで、従来よりも圧倒的に単純な演算で特徴を抽出します。抽出された後の特徴量も小さく軽量で、特徴量の扱いも単純です。さらに、抽出された特徴量は、特徴の検索の際も高速動作可能な構造を持っています。圧倒的な高速動作が可能な次世代の特徴抽出アルゴリズムです。

※移動方向と移動量を矢印で表現しています

他の特徴点検出アルゴリズムと比べた優位性

特徴点検出のアルゴリズムは、世界中でたくさん提案されています。ここでは、代表的なアルゴリズムとの比較を行ってみます。SIFTアルゴリズムやその高速化アルゴリズムであるSURF、AKAZE(KAZE)アルゴリズムでは、「キーポイント=画像中の局所的極値」であるため、特徴点位置を探索するのに画像全体を処理する必要があります。SIFTアルゴリズム等では、検出されたキーポイント数によって演算回数が変化し、特にキーポイント数が多い場合に演算時間が大幅に増加しますが、本技術は常に一定の演算回数を保証でき、特徴点数が多い場合でも演算時間に大きな変化は生じません。

画像一致点検出技術

正確かつ高速に画像の一致点を見つけ出す技術 (特許第4689758)

本技術は、特徴点検出技術によってビットマップ画像中から特徴的なパターンを正確かつ高速に抽出し、その特徴点データ(数値と座標を組みとした一列の軽量なデータ)を複数の画像間で比較することで一致点を検出する技術です。 画像から求めた特徴点データのみを比較するので、演算量が膨大になる複数の画素値同士を直接比較する差分絶対値和(SAD:Sum of Absolute Differences)などと比べ、圧倒的に少ない演算量で画像の一致点を検出することができます。

※検出された一致点の一部を表示しています

特徴点の比較

複数の画像から一致点を検出する場合には、特徴点検出の処理をそれぞれの画像に対して行い、特徴点のデータ列を作成します。そして、この特徴点データを比較して一致点を検出することで実現します。
この特徴点のデータは、わずか数十bitの軽量な情報であるため、比較するのも一瞬で行えます。これが、画素値そのものを比較する従来の方式に比べて、処理コストが圧倒的に少ないという本技術の特徴となっています。
特徴点データの生成が完了した画像データは、以降の一致点検出処理において元画像を参照することはないため、メモリ上にとどめておく必要はありません。

他の特徴点検出アルゴリズムとの計測比較 (画像サイズは1920×1080)

基準となる画像に対し、別時間にカメラを傾けて撮影した2枚1組の画像から一致点の検出を行った比較例です。


基準画像

特許第4689758による一致点検出結果
ISL
(Algo758-DP5)
SIFT
(BruteForce)
AKAZE
(BruteForce-Hamming)
処理時間[ms] 42 7,136 1,469
一致点正答数 21,493 11,703 11,410

画像一致点検出技術の応用

複数の画像から、精度の高い一致点を高速かつ少ない演算量で検出できる本技術を利用すれば、種々の特徴を持つ応用製品を生み出せる可能性があります。

スマートフォンカメラの手ブレ補正

歩行しながらの撮影で発生する振動を抑制する画像一致点検出技術の応用例です。この手ブレ抑制は画像から得られる特徴点検出の情報のみを使って実現できるため、ハードウェアの情報に依存することなく実現することが可能です。

車載カメラ(ドライブレコーダー)の振動抑制

上下左右に激しい動きが生じる車載カメラの映像のブレを抑制する画像一致点検出技術の応用例です。左右へのロールや大きな振動に対しても違和感の少ない補正が可能です。

テンプレートマッチング

あらかじめ学習しておいたパターンが画面上に現れた時、または対象物が動いたり状態が変化したりした場合に、その物体を検出する画像一致点検出技術の応用例です。
対象物の模様が複雑で、かつ非常によく似たパターンが複数存在する物体であっても、良質なパターンマッチングができる本技術であれば、問題なく物体を区別して判定できます。

一致点検出処理を用いた高品位画像生成

露出違いなどで撮影された一連の映像からダイナミックレンジが広く、ノイズが少ない画像生成を実現できます。各画像に画角のずれがあっても、特徴点検出によって精度の高いコンポジット処理が可能です。

※処理後の画像には明瞭化技術も適用されています
明瞭化技術について

幅広い応用範囲

本技術を応用することで、一致点検出機能を持つ画像処理装置、デジタルスチルカメラおよびデジタルビデオカメラ等を提供することができます。本技術は、処理量を増大させることなく、数多くの一致点を検出できるため、映像から動くものだけを発見する場合においても、より小さな移動体を検出でき、その精度が高いことから、それらを追跡する場合においても有利です。対象物の動きに追従してズーミングしたり、車載カメラや監視カメラの映像から対象に近づく人間や物体を検知したり、検出された特徴点のコンポジットによる画質向上への応用など、その活用範囲は広範囲に及びます。