SILKYPIX® JPEG Photography 3.0SOFTWARE MANUAL
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0.概要と入門

本ソフトウェア"SILKYPIX® JPEG Photography 3.0"は、プロの写真家や写真愛好家から高い評価をいただいているRAW現像ソフト"SILKYPIX® Developer Studio 3.0"のJPEG現像機能のみを搭載した現像ソフトウエアです。

JPEG ファイルをそのまま処理する通常のフォトレタッチソフトと違い、RAW 現像するのと逆の処理を行って、内部的に RAW データに近い形にデータを変換してから再度現像処理を行います。
このため、フォトレタッチソフトでは考えられないくらい正確な色処理を行うことができるだけでなく、RAW ファイルを扱うのとまったく同じ手順で写真調整を行えます。

本ソフトウェアでは、現像処理の中で、様々なパラメータが調整可能です。


(1) 露出補正

カメラで露出補正をして撮影したのと同等の結果を現像時のパラメータ調整で行うことができます。
また、高精度の自動露出補正機能により、すばやく適正露出に追い込むことができます。

(2) ホワイトバランス調整

カメラであらかじめ光源指定して撮影したのと同等の結果を現像時のパラメータ調整で行うことができます。
あるいは、色温度変換フィルタを使用して撮影したのと同等の結果を現像時のパラメータ調整で行うことができます。

(3) シャープネス調整ノイズ除去

撮影した絵の輪郭強調や、ノイズ除去などを現像時に変更することができます。

(4) トーン調整

撮影した絵の調子(軟調、硬調など)を現像時に変更することができます。

(5) 色調整

撮影後にフィルムを選択する感覚で使えるカラーモードや、細かな色の微調整機能などを備え、写真の色づくりを強力にバックアップします。

(6) レンズ収差の補正

レンズ固有の収差を補正、または低減するレンズ収差補正機能により、より高品位な映像を生成することができます。

(7) 回転デジタルシフト

カメラを傾けて撮影してしまった場合でも、回転機能により傾きを簡単に修正できます。
さらに、シフトレンズと同様の効果のあるデジタルシフト機能により遠近感のコントロールや、建築物の撮影に威力を発揮します。


0.1 フォトレタッチソフトとの違い


本ソフトウエアで JPEG を現像する場合と、フォトレタッチソフトによる画像処理は似ています。
しかし、フォトレタッチソフトとの決定的な違いがあります。このため、弊社では敢えて「現像」という言葉を使用しています。
これを理解することで、本ソフトウエアの特徴を最大限に生かすことができます。
その違いとは、本ソフトウエアは、常に原画の JPEG から全ての画像処理をやり直すという点です。
画像処理のパラメータを変更した場合(例えば、露出や、ホワイトバランスや彩度などを変更した場合)、本ソフトウエアは、常に原画の JPEG から必要な画像処理をやり直します。
そして、そのパラメータは、指示として原画の JPEG ファイルとは別のファイルに記録されます。
このため、コンピュータに与える負荷は大きくなりますが、その反面、素晴らしいメリットを手に入れることができます。
メリットを以下に列挙します。

(1) 原画のJPEG ファイルは変更されない

操作ミスなどによって大切な原画を変更してしまうことがありません。
本ソフトウエアの基本設計は、「原画のJPEG ファイルをいじらない」ということです。
例えば、フォトレタッチソフトや、デジカメソフトなどで、カメラで記録した JPEG ファイルを処理する場合、原画を上書きしてしまう可能性がありますが、本ソフトウエアでは、原画のJPEG ファイルを変更することはありません。(*1)

(2) 納得の行くまで何度でもパラメータを変更できる

フォトレタッチソフトは、1つ1つの処理で画像を加工していきます。
例えば、明るさを調整してから、カラーバランスを調整するケースでは、まず、明るさを調整した画像が作られ、次にその画像に対してカラーバランスの処理が行われます。
つまり、ひとつひとつ結果が確定されながら調整作業が進んでいきます。
最後になってやっぱり明るさを変えたくなったとしたら、最初からやり直すか、その時点の映像にさらに明るさ調整を施すしか方法がありません。
これは、画質の劣化を伴います。最後にやっぱり、少し暗くしたいとします。しかし、結果が確定されているので、途中の処理で白とびした部分のディティールが蘇ることはありません。

本ソフトウエアは、画像処理を常に原画の JPEG から最適な順番で施すため、パラメータが決定されれば、結果は常に同一です。
先にホワイトバランスを調整してから露出を調整しても、その逆の順番で行っても、最終的なパラメータが同一なら結果は同じになります。
つまり、納得の行くまで何度でもパラメータを調整でき、調整作業に集中することができるのです。

(3) 画質劣化がない

フォトレタッチソフトで調整を施す場合、調整の順番が問題になります。
明るさを調整してから、カラーバランスするか、はたまたその逆か... シャープネスはいつ施すか、トーンカーブは?
作業用色空間は?レンズ収差補正は?
これらを常に最適な順番で行うことは非常に高度な知識を要求されるだけでなく、やり直しはききません。
順番が適切でないと、画像を劣化させることになります。
適切であっても、処理の組み合わせによっては、途中でどうしてもクリップされてしまうピクセルが出てきます。

本ソフトウエアは、内部では真っ白よりも明るいピクセルをも伝達できる高階調パイプライン画像処理をパラメータに応じて適切に組み合わせることで、フォトレタッチソフトで発生するような画質劣化が発生させないように設計されています。
したがって、高度な機能を組み合わせても常に最高画質を手に入れることできます。
しかも、その順番は、自分の好きな順番で行えば良いのです。画像処理の都合で調整の順番が規定されてしまうこともありません。

(4) いつでもやり直せる

パラメータは、1コマ毎に原画の JPEG とは別のファイルに管理され、自動的に読み込まれて、更新されますので、後日パラメータ調整をやり直すことも簡単です。
パラメータを他の用途に使う為に部分的に変更した現像結果を得ることも簡単です。
しかも、現像結果にもパラメータが埋め込まれるため(*2)、後日、その現像結果を得たときのパラメータを現像結果の画像ファイルから取り出すこともできます。
現像結果と、原画の JPEG さえあれば、いつでも現像結果のパラメータを読み込んで微調整を施すことができるのです。

(5) パラメータの先決めができる

画像処理(現像処理)をあとでまとめて一括処理することができます。
つまり、パラメータだけを先決めして、どんどんと調整していき、画像処理(現像処理)を後で一括して行うことができるのです。
この性質は、大量に撮影した写真を一気に処理する場合に威力を発揮します。

*1 ... 設定により回転情報タグを書き換えることが可能です。(参考:JPEG 回転時の回転情報の保存)この場合ファイルが更新されますが、含まれる画像そのものはまったく変化しません。

*2 ... 現像パラメータは、現像結果の Exif 情報メーカーノートタグに書き込まれますので、Exif 情報なしで現像した場合には埋め込まれません。(参考: 現像結果保存設定)

※弊社では早くから、このような「非破壊画像処理」(弊社呼称 OIP技術)を開発し、1999年発売のデジカメソフト「デイジーデジカメフレンド」をはじめとする多くのプロダクトに採用してきました。
本ソフトウエアでは、これをディストーション補正や、デジタルシフトなどの変形を伴う処理にも応用し、完全に一貫した画像処理のなかで実現しています。
回転や変形を伴う画像処理だけは現像後に行わなければならない。といった不便さがなく、露出やホワイトバランスなどの基本調整からレンズ収差補正に至るまで、一貫したスマートなワークフローを実現しています。



0.2 RAW現像ソフト"SILKYPIX® Developer Studio 3.0"との違い


入力できるファイルがJPEGのみに限定されている以外は、"SILKYPIX® Developer Studio 3.0"のJPEG現像機能とまったく同じ機能を有し、操作体系も現像パラメータも互換性を持っています。
このため、将来お客様が RAW を扱うようになった場合には、"SILKYPIX® Developer Studio 3.0"へアップグレードしていただくことで、今までのパラメータは引き継がれ、操作体系も同一のままRAW現像を楽しんでいただくことができます。
さらに、本ソフトウエアから"SILKYPIX® Developer Studio 3.0"へのアップグレード版も計画しております。(詳しくは、SILKYPIX®ホームページ http://www.silkypix.com をご参照ください。)



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