SILKYPIX® JPEG Photography 3.0SOFTWARE MANUAL
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10.SILKYPIX® JPEG Photography 活用術


10.1 テクニック編


10.1.1 プレビュー更新の高速化

本ソフトウェアでは、プレビュー表示の高速化のために、まず簡易プレビュー表示を行い、バックグラウンドで本現像を進行させ、本現像結果が確定した領域から逐次表示を差し替えていきます。
しかし、本現像結果で確認したい現像パラメータを調整する場合には、本現像プレビュー表示が行われるまで待たなければなりません。

ここでは、本現像プレビュー表示が完了するまでの時間を短縮するテクニックについて述べます。

(1) ウィンドウを小さくする。

ウインドウを小さくして、写真の一部分が表示されるようにすると、本現像を行わなければならない領域が小さくなります。
本ソフトウェアでは、プレビュー表示エリア内のみを部分的に現像してプレビュー更新を行うように設計されているため、ウインドウを小さくし、注目している部分のみが表示されるようにすると、本現像プレビュー表示完了までの時間を短縮することができます。

(2) 表示倍率を高くする。

表示倍率を高くすると、表示される絵の範囲が減り、(1)と同様の効果があり、注目している部分を大きく拡大して表示できますのでお勧めです。
また、プレビュー倍率を400%以上にすると、本現像プレビュー表示のみを行うようになり、簡易プレビュー表示がスキップされて表示のちらつきがなくなります。

(3) 偽色抑制のパラメータを0にする。

本ソフトウェアの偽色抑制は、高周波の色ノイズだけでなく、低周波の色ノイズまでをも低減する欲張りで贅沢な負荷の大きな処理を行います。
このため、偽色抑制を最後に調整することにして、他のパラメータの調整中は、偽色抑制を0にすることで、本現像プレビュー表示完了までの時間を短縮することができます。


また、これと関連して、「縮小表示時に本現像プレビューを行わないようにして、CPU負荷やメモリ消費を抑えることも可能です。「9.2.5 プレビュー設定」をご覧ください。

10.1.2 白とびの緩和

高彩度のもの、特に花などを撮影した場合に、明るい部分で色が白くなってしまう場合があります。
この現象を本マニュアルでは「白とび」と呼ぶことにします。
ここでは、この白とびを緩和する方法について解説します。

○ 白とびする理由

そもそも、白とびはなぜ発生するのでしょうか?

被写体がつるっとしていて、当たった光がそのまま反射して白くなる場合があります。これは、白とびではありません。
白とびは、人間の目には赤く見えていたものが、その明るい部分で白く表現されてしまうような状態を言います。
これは、撮影時、もしくは現像時に表現できる明るさを超えてしまうことにより発生します。
写真では、(写真に限らず、印刷でもプリンタでもモニタでもテレビでも)表現可能な明るさに限界があります。そして、この限界は、色が濃くなるほど小さくなります。

ここで、 R, G, B を使って説明します。パソコンのモニタは、R, G, B の細かい点を発光させて色を作っています。
いま、赤い点が最も暗い状態を R=0 という数値で、最も明るい状態を R=255 という数値で表すことにします。G, B についても同様です。
R=0 のとき、モニターの赤い点は最も暗い光り方をし、R=255 のときに最も明るい光り方をします。この光り方のバランスで色と明るさを表現しています。
人間が感じる明るさは、R の光り方と、G の光り方と、B の光り方の和を感じます(*1)。

例えば白い色は、R,G,B が同じ光り方をします。つまり、R=100, G=100, B=100 のような状態のとき、白く見えます。
そうすると、白い色(無彩色)は、R=0,G=0,B=0 から、R=255,G=255,B=255 までの表現範囲を持ちます。
明るさにすると、0 〜 255+255+255=765 までを表現できます。

今度は、薄い赤(ピンク)を考えてみましょう。薄い赤は、G, B に比べて R が大きい状態です。例えば、 R=200, G=100, B=100 となります。
このとき、G, B は、R の半分です。この比率を維持していると、同じ色に見えます。
例えば、暗くて薄い赤は、 R=100, G=50, B=50 です。明るくなると、R=200, G=100, B=100 となります。さらに明るくすると、最も明るい薄い赤 R=254, G=127, B=127 となります(*2)。

ここでさらに明るくすると、どうなるでしょうか? 数値上では、R=300, G=150, B=150 という状態が作れます。
しかし、R=300 は実際には表現できないので、R の実際の明るさは R=255 となってしまいます。つまり、R=255, G=150, B=150 と表現されます。
さらに明るくするとどうでしょうか? R=510, G=255, B=255 が、R=255, G=255, B=255 となってしまいます。これは、つまり真っ白です。

白とびは大雑把に言って、このように発生するのです。この薄い赤の場合、色が変わらない限界は R=254, G=127, B=127 となります。
そして、このとき感じる明るさは、254+127+127=508 です。白は、明るさ 765 まで表現できたのに、薄い赤は、508 の明るさまでしか表現できないことになります。

もっと濃い赤だったらどうなるでしょう。例えば、R=200, G=50, B=50 の濃い赤で考えてみましょう。表現できる最も明るい濃い赤は、R=252, G=63, B=63 です。これは、明るさ 252+63+63=378 です。
つまり、色が濃くなればなるほど、明るい表現ができなくなるのです。
色の薄い被写体に合わせて露出を調整すると、色の濃い被写体が白とびしてしまう。その理由はここにあります。

○ 白とび緩和策1(露出補正)

緩和策1は、露出の調整です。そもそも明るくすることによって白とびが発生するのですから、白とびしない程度に露出を調整すれば緩和できます。
しかし、多くの場合、これでは色の薄い被写体が暗くなりすぎてしまいます。

○ 白とび緩和策2(彩度調整)

緩和策2は、彩度の調整です。彩度の低い色ほど明るい表現が可能です。ですから彩度を下げることで緩和できます。
しかし、高彩度の白とびに合わせて彩度を下げると、多くの場合、他の部分の彩度が下がりすぎて色の薄い写真になってしまいます。

○ 白とび緩和策3(ハイライトコントローラ)

本ソフトウエアでは、R, G, B のどれかが表現できる明るさを超えた領域の色を範囲内にクリップする方法を制御できる機能を搭載しています。
例えば、先の例で、明るさ R=300, G=150, B=150 を考えてみます。

ソフトウエアの内部では、実際に再現できる範囲よりもはるかに広い範囲でデータを扱っています。このため、内部では R=300, G=150, B=150 という本当の色のデータを保持しています。
しかし、それを出力する際には、255, 255, 255 の範囲内にクリップしなければなりません。

単純に超えた R だけを 255 にクリップすると、色相も彩度も輝度(明るさ)も狂ってしまいます。本来の明るさは、300+150+150=600 です。
ハイライトコントローラの輝度重視を最大とすると、色よりも 600 という明るさを重視して色のクリップを行います。 例えば、R=255, G=173, B=172 となり(*3)、明るさ 600 を維持できます。
しかし、これでは、さらに白とびを激しくしてしまいます。

ハイライトコントローラの輝度重視を最小(色彩重視)とすると、今度は色を重視するようになります。
ここでは、色彩を重視した場合の数値での説明は割愛しますが、デフォルトでは、色彩重視:輝度重視が25となっていますので、これを 0 にすることで緩和が可能だと覚えておいてください。
そして、この場合、さらに色相を重視するか彩度を重視するかを決めることができます。詳しくは、「4.9 ハイライトコントローラ」をご覧ください。

○ 白とび緩和策4(ファインカラーコントローラ)

ハイライトコントローラを使用すると、白とび領域のコントロールが可能ですが、これは高彩度色を完全に救えるほどの効果ではありません。
むしろ、ハイライト部分を残しつつ、その表現を決める場合に有効な機能です。

ファインカラーコントローラでは、より効果的な方法を提供しています。
それは、白とびした色の彩度だけを下げる、もしくは白とびした色の明度だけをを下げるという方法です。
白とびした色を狙って調整を施すことで、低彩度の白い部分には殆ど影響を与えることなく、白とびを緩和できるのです。使い方については、「4.10 ファインカラーコントローラ」をご覧ください。

○ 白とび緩和策5(ダイナミックレンジ)

ダイナミックレンジを使用すると、白とびするハイライトの領域の階調を圧縮して、白とびを緩和することができます。
詳しくは、「4.9.4 ダイナミックレンジ」をご参照ください。

*1 ... 実際には、色によって人間の目は感度が違うため、R+G+B が人間が感じる明るさではありませんが、説明の便宜上、このように単純化させていただきました。

*2 ... 実際の RGB データ(例えば sRGB データ)はγ特性といわれる非線形特性がかけられているので、このように単純ではありませんが、説明の便宜上 RGB 値をリニア値として R,G,B の値と実際にモニタから発光される光量が比例するという前提で説明しています。

*3 ... 実際のソフトの動きはもう少し複雑です *1 で説明したように実際の明るさは R+G+B ではないことや、 *2 のγの影響があるためです。ここでは動作を理解していただくために単純化しています。

10.1.3 再現色域と、色域外の色の調整について

高彩度のものや、彩度を高めた場合など、再現できる色の範囲を超える場合があります。
ハイライト、シャドー、色域外警告の表示」の機能を使うことで、再現できる色の範囲を超えて彩度が高くなっている部分を警告することができます。

色域外の色は、クリップされて sRGB や Adobe RGB の色域内に押し込められるため、ディティールがつぶれてベタッとした感じになりやすくなります。
白とびも起こしていないのに、彩度の高い部分のディティールが失われていると感じたら、色域外に色が出ていないかチェックする必要があります。
色域外の色は、白とびとは異なり、露出補正で暗くしても警告がなくなる訳ではありません。R,G,B 値で言えば、R,G,B のいずれか1つ、または2つが負の値を取ってしまうほど彩度が高い部分です。

例えば、R=255, G=0, B=0 は、この RGB 空間で再現できる最も彩度の高い赤ですが、さらに彩度の高い赤をカメラは捕らえており、現像されると、R=255, G=-20, B=-20 のような値を取る場合があります。もちろんこのような色は出力できませんので、クリップされることになり、高彩度で構成されるディティールがつぶれてしまうのです。
例えば、実際の花が、R=255, G=-20, B=-20 と、 R=255, G=-30, B=-30 の間で彩度の微妙なディティールを構成していても、現像結果は全く同じ色になってしまいます。
しかし、本ソフトウエアは内部ではこのような色域外の色も保持していますので、彩度を下げて現像することで、ディティールを蘇らせることができます。警告表示を見ながら、警告が出なくなるまで、彩度を下げるか、ファインカラーコントローラを使ってその色の彩度を下げてみてください。

このような領域の色は、プリンタなどの印刷デバイスにとっても苦手です。特に赤と青の中間に存在する明るいマゼンタや紫系の色は、印刷デバイスにとって最も苦手とする色です。
また、パソコンのモニタは、明るくて彩度の高い色を表示できますが、プリンタや印刷デバイスは苦手です。
モニタは発光デバイスですが、印刷物は、光を吸収することによって色を表現します。このため、彩度が高い色を表現しようとするとどうしても暗くなってしまうからです。
印刷結果の色がつぶれてベタッとしてしまう場合は、明度を下げるのが効果的な場合もあります。

10.1.4 絵が眠い

絵がシャープじゃない。なんか力がない。なんか眠い。
そんな印象を受ける場合には、ここの内容を参考に現像パラメータを調整してみましょう。

1.露出補正

不要な部分を取り除いていくトリミング機能のように、明るさに対してあなたが表現したかった明るさの範囲をトリミングしてゆく、これが露出補正なのです。露出補正をいろいろ変更してみて、あなたが表現したかった写真の部分が適度な明るさになるように調整してみてください。
あなたの写真は、明るさをとりもどし、力が出てきたと思います。

2.調子の調整

カメラが捕らえた明るさをどのように圧縮もしくは伸張するか、それを決めるのが調子表現です。まずは、コントラストを上げてみましょう。
白い部分をもっと白く、そして黒い部分はもっと黒く、これはあなたが表現したい範囲を狭め、それをデバイスの表現範囲に拡張する作業です。この作業で写真に力が出てきます。

では、どこを境としてコントラストの強調を決めるのか、これがコントラスト中心です。
あなたの写真が明るいなら、コントラスト中心を上げて明るい部分を中心として、コントラストをつければいいでしょうし、暗いならコントラスト中心を下げて、暗い部分を中心にコントラストをつけましょう。
どうでしょうか?だいぶ症状が改善されてきましたね。

写真にフレアーが乗っていたり、埃っぽい印象を受けたなら、黒レベルをあげてみましょう。
写真が締まった感じがしませんか?逆光や、遠景の撮影などで、眠い感じになったら、黒レベルをあげて黒を引き締めてください。

3.シャープの調整

ここまで、調整されれば、もうだいぶ眠くなくなってキレのある写真になってきたと思います。
あとは、ピントがいまいち...
ここからは、写真の中で注目している場所を拡大(100%以上の表示倍率で)して、輪郭のシャープさを調整しましょう。
まずは、シャープネスを最大にしてみましょう。
写真の輪郭が明瞭になり、カチッとした印象になったはずです。
でも、よく見ると、同時にノイズも多くなり、もともとはっきりした輪郭は強調されすぎて不自然になっているかもしれません。
この不自然さが消えるようにシャープネスを弱めていけば調整は完了です。

10.1.5 シャープとアンシャープマスクの使い分けについて

本ソフトウエアには、輪郭を強調して解像感を増す機能として、現像時に1コマ1コマに独立に設定ができるシャープと、現像時、または印刷時に指定できるアンシャープマスクを搭載しています。
アンシャープマスクは、現像を実行する際や印刷する際に、そのとき同時に処理されるコマに対して、一律に処理されます。

コマ毎に独立して設定が可能なシャープを調整する場合は、モニタ上の等倍(100%)観測で、好みの解像感が得られるようにノイズとのバランスを取りながら設定します。

一方、アンシャープマスクは、現像(または、印刷)時に一律に処理されますので、その写真の使用用途によって、追加的な輪郭強調を施す場合に便利です。

例えば、撮影した写真を、1つは原画解像度のまま現像して汎用的な JPEG で保存する目的で現像し、
2つ目は、WEBにアップするためやPCでの閲覧用に、縮小して現像し、
3つ目は、鑑賞用に印刷するとします。

このとき、現像パラメータとしてのシャープは、1つ目の目的、すなわち原画解像度での JPEG 保存に適するように設定します。
そして、それらの写真を縮小して現像する際は、縮小によって不足する解像感を補う為に、アンシャープマスクを施す設定として現像します。
印刷では、印刷によって不足する解像感を補う為にアンシャープマスクを設定して印刷します。

このように、シャープはあくまでも原画解像度での現像用にパラメータを設定し、アンシャープマスクは、その使用用途によって現像時に追加的に与える輪郭強調を指定すると、目的によってパラメータの組み直しが不要になり便利です。

適切なアンシャープマスクの量は、縮小率や、縮小した現像結果を閲覧する機器によって異なります。
縮小率が大きくなるほど、強くアンシャープマスクをかける必要が出てきます。
また、閲覧する機器の表示の大きさによっても適切な量は変化し、表示サイズが小さくなるほど、観測距離が大きくなるほど、強くアンシャープマスクをかける必要が出てきます。

利用する機器毎に縮小サイズや、アンシャープマスクの量を追い込み、覚えておくと便利です。
例えば、
50インチのプラズマTVでの閲覧用に、そのディスプレイのドットサイズ(例えば 1366x768)に内包する大きさでアンシャープマスク半径 0.5 で適用量を 70% で現像する。
PCでのスライドショー作成用に、1024x768 に内包する大きさでアンシャープマスク半径 0.6 で適用量を 100% で現像する。
携帯電話での閲覧用には、320x240 に内包する大きさでアンシャープマスク半径 0.6 で適用量を 150% で現像する。
ミュージックプレイヤーに転送する目的で、176x132 に内包する大きさでアンシャープマスク半径 0.7 で適用量を 200% で現像する。
というような具合です。
一旦、適切な設定を追い込めば、後は、ほぼ一定したパラメータで現像処理ができるようになります。

印刷においても、印刷するサイズや、プリンタの解像度、使用する用紙によって異なりますので、一旦追い込んで覚えておくと便利です。


10.2 知識編


10.2.1 色温度と色偏差について

光源の色を表現するのに、色温度という言葉が良く使われます。
物体を暖めると、光を発生します。
暖めてゆくと最初は赤く光りはじめ、やがてオレンジ、そして黄色になり、さらに白くなり、もっと暖めると青白く輝きます。
この場合、光源の色は、温度で表現できることになります。
例えば、1500度の物体から発射される光を、色温度1500K(ケルビン)、2000度なら2000Kというわけです。
このような光放射をする物体を黒体放射体、またはプランク放射体と呼びます。

太陽の表面温度は、約6000度ですから、太陽は6000Kの色温度の光を発生しています。
地表に届くまでに、大気を通過する段階で青い光が散乱、吸収されて、5000K〜5500K程度になります。
電球は、フィラメントが2000度〜3000度で、2000K〜3000K程度の色温度です。

ところが、まったく発光原理の異なる光源があります。蛍光灯や水銀灯などです。
これらの光源の場合には、視覚的に最も近い黒体放射体の色温度とします。
具体的には、CIE 1960 UCS 座標系に光源色をプロットし、そこから黒体放射線軌跡に対して直角に垂線をおろして、その部分の色温度を使用することになっています。

この垂線上の色はすべて同一の色温度とみなされ、この線を等色温度線と呼びます。
そして垂線の長さが黒体放射線偏差で、このソフトウェアでは色偏差と呼んでいます。

色温度だけではバランスできない被写体に対しても、色偏差を導入することで簡単にホワイトバランスを調整することができます。
なお、地表に降り注いでくる太陽光や、雲を通過してくる太陽光は、黒体放射から僅かにずれていることが観測により明らかになっています。
天候や、場所によって異なりますが、CIE 1960 UCS の uv 距離にして、 0.003〜0.004 程度、本ソフトウエアの色偏差に換算すると 3〜4 です。
本ソフトウエアのプリセットホワイトバランスの色偏差値が 0 ではないのはこのためです。

10.2.2 Exif 情報について

Exif 情報とは、カメラの撮影時の情報や、画像の特性を示す情報のことで、日本のメーカー製のカメラやユーティリティが幅広く採用している規格です。
Exif 情報を出力ファイルに埋め込むことで、撮影時のシャッター速度や絞り値、撮影日時などの撮影情報や、Exif サムネイル画像、色空間情報などを出力ファイルに含めることができます。
本ソフトウェアでは、Exif 2.21 に準拠しており、色空間情報を Exif に準拠した形で出力することができます。

これらの情報は、Exif 情報に対応したソフトウェアで、出力ファイルを扱う場合に有効です。
また、Exif 2.21 から sRGBに加えて、Adobe RGB色空間の情報を含めることができるようになりましたが、対応しているソフトウェアが少ないため、色空間の情報の埋め込みには、「ICCプロファイルの埋め込み」の利用をお勧めします。

10.2.3 本ソフトウェアが自動的に作成するファイルについて

10.2.3.1 現像パラメータファイル

現像パラメータや、予約状態、回転情報、ユーザーマークなどを保存するために、JPEG ファイルと同一のフォルダ以下に SILKYPIX_DS フォルダを生成し、JPEGファイル名 + ".spd" というファイルを作成します。これを現像パラメータファイルと呼びます。

これらのファイルを作成しなくすることができます。設定方法については、機能設定をご覧ください。
この場合、現像パラメータの情報や予約状態、回転情報などはソフトの終了時、または、新しいファイルやフォルダの読み込みによって失われます。
また、書き込み禁止フォルダや書き込み禁止ドライブに関しては、ファイルを作成することができないため、これらのファイルを作成しなくした場合と同様に、現像パラメータの情報や予約状態、回転情報などはソフトの終了時、または、新しいファイルやフォルダの読み込みによって失われます。

10.2.3.2 サムネイルファイル

JPEG データを簡易現像して得られたサムネイル画像を、高速化の目的で JPEG ファイルと同一のフォルダ以下に SILKYPIX_DS フォルダを生成し、JPEGファイル名 + ".spi" というファイルを生成します。
機能設定により、現像パラメータファイルの作成を禁止している場合には、サムネイルファイルも作成されません。

10.2.3.3 仮想記憶ファイル

OSのテンポラリフォルダに、DefaultTCCBSectionNNNN.lck, DefaultTCCBSectionNNNN.vm0 という一時ファイルを作成します。(NNNN は、0000 〜 9999)
これは、本ウェアが管理する仮想記憶ファイルで、ソフトウェア起動時に作成され、ソフトウェアの終了時に削除されます。
この仮想記憶ファイルを作成する場所を指定することもできます。「9.3.3.2 テンポラリ・フォルダを指定する」をご参照ください。

10.2.3.4 初期化ファイル

OSが規定するユーザー設定フォルダに SPDUser1.ini というファイルを環境設定などを記憶する目的で作成します。
Windows 2000/Windows Xp では、ユーザー毎に独立に設定が管理されます。


10.2.4 プライオリティについて

プライオリティとは、そのプログラムに与えられたCPUを使用する優先順位のことです。
同時に複数のプログラムが動作している場合に、プライオリティが高いプログラムには優先的にCPUが割り当てられ、
プライオリティが低いとシステムが暇なときにCPUが割り当てられるようになります。
本ソフトウエアでは、「低プライオリティ現像」を使用すると、一括現像時に、このCPU割り当ての優先順位を下げます。
そうすると、同時に動作している他のプログラムに優先的にCPUが割り当てられるようになり、他のプログラムをより快適に使用できるようになります。
例えば、一括現像中に WEB ブラウザを起動してホームページを閲覧したり、ワープロソフトを起動して文書を作成したりする場合に、現像処理のプライオリティを下げるとホームページの閲覧や、文書の作成が快適に行えるようになります。

それでは、一括現像の処理が遅くなるのでは?という疑問が湧いてくると思います。そのとおりです。他のプログラムに優先的にCPUが割り振られるために、現像処理は遅くなります。
ただし、同時に動作させているのが、WEB ブラウザや、ワープロソフトの場合はわずかしか遅くならないはずです。なぜならば、これらのインタラクティブ(対話型)プログラムのほとんどは、ユーザーからの入力がない限りは、ほとんどCPUを使用せず、ただひたすらユーザーからの入力を待っているからです。
このため、ユーザーからの入力がない限りは、CPUは暇であり、一括現像処理にそのパワーが使われます。
しかし、ユーザーが何かを入力(キーボードを押したり、マウスを動かしたり)すると、即座にインタラクティブなプログラムが応答できます。
このため、現像処理もそこそこ動きつつ、前面で他のプログラムを快適に使用できるのです。
この機能を積極的に使って、現像中は、SILKYPIX®ホームページ(http://www.silkypix.com)でも覗いてみてはいかがでしょうか?

低プライオリティ現像」を行うと極端に現像時間がかかるようになったり、他のプログラムの動きが軽快にならない場合は、PCに搭載しているメモリ量が足りないことが考えられます。
プライオリティは下がっても、現像処理には多くのメモリを必要とします。このため、他のプログラムと同時に動作させると、両方が遅くなってしまうのです。
このような場合には、メモリを増設するか、一括現像中に「低プライオリティ現像」を使用せず、現像処理が終わるのをじっと待つほうが得策です。

10.2.5 熱暴走について

熱暴走とは、CPUが高温になって正しい演算処理ができなくなり、言葉のとおり暴走してしまうことです。
パソコンによっては、ブルーバック(画面が真っ青になりエラーを報告する画面が表示される)になったり、高温から自分自身を保護するためにリセットがかかってしまったり、電源がOFFになってしまうものもあります。

このような症状が発生したら、熱暴走を疑ってみてください。
本ソフトウエアを使用していて、このような症状が現れる場合には、「9.4.1.3 現像処理をゆっくり行う」をご参照になり、熱暴走かどうかを確かめ、対策を講じることをお勧めします。



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